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アイヌ語地名の傾向と対策 (46) 「幌武意・島武意・入舸・積丹」

本日は、軽めのものを三つと、重~いものが一つという、実にバランスの悪い内容でお届けします。でもご安心下さい。お値段以上です(←

幌武意(ほろむい)

poro-moy
大きな・入江
(典拠あり、類型あり)

普通だとスルーしてしまう地名なんですが、お隣に「島武意」もあるので、ここは両 A 面(死語)ということでひとつ……。はい、poro-moy で「大きな・入江」という意味みたいです。以上!(←

島武意(しまむい)

suma-moy
岩・入江
(典拠あり、類型あり)

積丹岬の駐車場からトンネルをくぐって北に向かうと「島武意」の海岸があります。元々は suma-moy で「岩・入江」でしょうね。……おおっ、これだけスムースに進むのは久しぶりかも!?

入舸(いりか)

ni-turi-us-i?
木・船をあやつる棒・多くある・所
(? = 典拠あるが疑問点あり、類型あり)

と思ったら、難題にぶつかりました……。とりあえず「角川──」が詳しいので、見て行きましょうか。

古くは,「いりふね」とも称し,入舟・入船とも書いた。後志(しりべし)地方北部,積丹(しゃこたん)半島北端の日本海沿岸。地内を入舸川が西流。古くはニトトマリ(弁財澗,寄木ある泊の意)といった地域にあたるが(北海道蝦夷語地名解・北海道の地名),江戸期の地名としてはニカルイシ・ニトリイシ・メレヒロ泊・ニンヒルトマリなどが記録されているだけである(西蝦夷日誌)。
(「角川日本地名大辞典」編纂委員会・編「角川日本地名大辞典 1 北海道(上巻)」角川書店 p.152 より引用)

2011/4/18 の記事でも触れましたが、この「入舸」は天然の良港とも言える地形で、その有用性が地名となり現在に至る……と見るべきのようです。もともとの地名だったとされる「ニトトマリ」は net-o-tomari で「流木・ある・泊地」のようですね。

基本的に「駄文オンリー」なのが当 Blog のコンセプトですが(コンセプトがあったのか)、たとえ駄文とは言え「お値段以上」の内容でありたいなぁ、ということで「ニトリイシ」についても(←

地名は,アイヌ語ニトリシ(船材をとるところの意)に由来(積丹町史)。
(「角川日本地名大辞典」編纂委員会・編「角川日本地名大辞典 1 北海道(上巻)」角川書店 p.1106 より引用)

「船材をとるところ」……? ちょちょいと調べた限りでは、少なくとも直訳では無さそうな感じです。どうやら ni-turi-us-i で「木・船をあやつる棒・多くある・所」ではないか……とのことですが、後に net-o-tomari と呼ばれるようになったことを考えると、net-tori-us-i で「流木・取る・いつもする・所」という、和洋……じゃないや、アイヌ・和・折衷の地名だった可能性も考えられそうです。蠣崎氏、あるいは松前藩の影響ではないか、と。

積丹(しゃこたん)

sak-kotan
夏の・村
(典拠あり、類型あり)

さぁ、「入舸」に文字数を割いてしまったので、「積丹」はすっきりと行きましょう! はい、sak-kotan で「夏の・村」といった意味です。確かに冬場の厳しさはかなりのものがありそうですから、「夏場限定」という考え方は良く理解できます。現代人のキャンプシーズンも、おそらく夏場限定なんだろうなぁ、と。

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