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隠岐ジオパークの旅 (31) 「海苔田某は実在したか?」

その時節理が動いた(←

それは、隠岐の島は島後の「海苔田ノ鼻」というところで、柱状節理のなれの果てを眺めていた時のことです。

S さんが、ちょっとした異変に気づいたようでした。具体的には、こちらです。

S さんの話では、なんでも「節理の数が少なくなっている」のだとか。そう言われてみれば……

重機(パワーショベル)の跡のようなものが残されています。その場では何が問題なのか良く判らなかったのですが、どうやら……

鎧岩,兜岩を含む半島先端部は国の天然記念物に指定され,大山隠岐国立公園の特別保護地区にも指定されているので,ハンマーを入れることも石ころを採集することもできませんので注意してください.

となっているにも関わらず、重機が入って節理を持ち去るとは何事だ! ということのようです。

ただ、改めて周囲を見回してみると、道路が舗装されると同時に、いくつかの節理が道路の海側に並べて置かれているのが見つかりました。どうやら節理をガードレールの代わりに使うために、重機を使って移動させたようです。

結局、この道路の整備工事がルール通りに適切に行われたものなのか、あるいは否か、という点については、その場ではわからずじまいでした。実際のところはどうだったのでしょうか。

勝手に工事しちゃダメ、という根拠

ちなみに、上記 http://www.geo.shimane-u.ac.jp/geopark/noridanohana.html によれば、「その他の海苔田ノ鼻全体が第三種特別地域に指定されている」とあります。というわけで、「『第三種特別地域って何?」という話になるのですが、「自然公園法」によると、

特別地域
公園の風致を維持するための地域。用途に応じて、第一種から第三種まで区別がある。以下の行為には、許可が必要となる。
工作物の新築・改築、樹木の伐採、鉱物の採取、河川・湖沼の取水・排水、広告の掲示、土地の埋立・開墾、動植物の捕獲・採取、本来の生息地でない動物の放鳥獣、本来の生育地でない植物の植栽、施設の塗装色彩の変更、指定区域内への立入、指定区域内での車の使用など
第一種特別地域
特別保護地区に準ずる景観を有し、特別地域のうちでは風致を維持する必要性が最も高い地域であって、現在の景観を極力保護することが必要な地域
第二種特別地域
特に農林漁業活動については努めて調整を図ることが必要な地域
第三種特別地域
特に通常の農林漁業活動については原則として風致の維持に影響を及ぼすおそれが少ない地域
Wikipedia 日本語版「自然公園法」より引用)

ということのようです。少なくとも「工作物の新築・改築」や「鉱物の採取」については許認可が必要っぽいですね。

海苔田某は実在したか?

さて。「海苔田ノ鼻」について、もうひとつ面白い(かも知れない)話を。Wikipedia には、「海苔田鼻」について、次のように記載があります。

海苔田鼻
白島海岸から東方に進むと海苔田鼻(海苔田の鼻)といわれる奇勝がある(国の天然記念物・名勝「隠岐海苔田ノ鼻」)。この海苔田という名は、源平合戦隠岐に落ち延びた海苔田某という武士に因む。放射状に節理が刻まれた奇岩、よろい岩とかぶと岩がシンボル。この岩は前述の流紋岩玄武岩が被さっているために黒色をしている。
Wikipedia 日本語版「白島海岸」より引用)

「海苔田」という地名は、源平の合戦で隠岐に落ち延びた(となると「平家」の可能性が高そうですね)「海苔田某」という武士に因む、とあります。そしてその「海苔田鼻」の名物が「よろい岩」と「かぶと岩」なのだとか。

……ちょっと話がうますぎると思いませんか? 「よろい岩」「かぶと岩」があったから、後付けで「落武者」の話が出てきた……とは考えられないでしょうか?

海苔田アイヌ語

仮に、「海苔田」の由来がアイヌ語だったとしたら……隠岐の原地名がアイヌ語に由来する蓋然性があるかと言われたら、そういうわけでは無いのですが……、not-ika-usi で「岬・越える・いつもする所」といった意味になる、とは考えられないでしょうか?(実際に、北海道の枝幸近郊には「野近志」という地名があります)

地形図を見て頂ければ一目瞭然なのですが、「海苔田ノ鼻」は中央部に凹部があって、そこを越えることでショートカットすることができます。そして、「岬」を「顎」や「鼻」のような、顔面のパーツに譬えるのは北海道のアイヌ語地名では枚挙にいとまがありません。「鼻」=アイヌ語由来という暴論をふりかざすつもりはありませんが、もしかして、そうだったら面白いのになぁ、という話です。

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