やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。
道東道のキウス PA がある千歳市の地名については、アイヌ語地名の傾向と対策 (33) 「キウス・於兎牛山・穂別・富内」をご覧ください。
キウス
穂別、茂別から更に穂別川沿いを遡ったところにある地名です(道東道の PA がある千歳市キウスとは違います)。今回も戊午日誌「東部武加和誌」を見てみましょう。
また少し上りて
キ ブ シ
左りの方小川。是ヲトイマケウシの川端え来りし処の並びなりと。其名義チウシのよし、汐早く有ると云儀なり。チは汐也、ウシは早く有ると云儀。
なんと! 千歳のキウスは ki-us で「草・多くある」だと思われますが、穂別のキウスは chiw-as-i のような……。chiw-as-i は「波・立っている・もの」という意味ですね。
シュッタノ沢川
さぁ、再び「シュッタ」がやってきました!(謎のテンション) 実は、お隣の平取町には「シュッタ川」と「シュウター川」という川があって、永田方正さん(鍋大好き)はどちらの川にも「鍋ヲ作ル」という謎な解を出していたのでした。
というわけで今回も……と思ったのですが、今回はなんと永田地名解には記載がありませんでした。これにはテンションガタ落ちですが、とりあえず戊午日誌「東部武加和誌」でも見てみましょうか。
またしばし過て
シユツタ
右の方相応の川也。其名義しれず。案ずるに洪水の節水早く出る義かと云へり。
へ!? これは一体……? 「洪水の節水早く出る義かと云へり」というのは……インフォーマントからの伝聞ですかね?
どう解したものかさっぱりわからないのですが、無理やり意味が近そうな形をひねり出してみると…… sup-ta で「渦流・にある」とかですかね……(かなり自信なし)。
ニサナイ
穂別の集落から鵡川沿いを東に遡ったところ(南岸)にある集落の名前です。今回も戊午日誌「東部武加和誌」に記載があったのですが……
五六丁にて
イサナイ
右のかた小川也。是ウエンナイの上の沢也。蘆荻原也。凡五丁計上には山有。其名義大木のうとうの木有りしと云儀のよし也。
これなんですが、「大木のうとうの木」が一体何を指すのかが良くわかりません。鳥の「ウトウ」ならわかるのですが……。「うとう」をアイヌ語だと考えても、植物編には utukani で「ミズキ」という単語があるくらいで、しっくり来るものが見当たりません。
「うとうの木」を一旦外して「イサナイ」という音から考えると、i-san-nay で「アレ・降りる・沢」あたりでしょうか。「アレ」は、やはり山の方の土地ですから、山の神様、すなわちクマでしょうか……?
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