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アイヌ語地名の傾向と対策 (548) 「芽登・オケトニ川・イクシナ川・ヌッパオマナイ川」

やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院地理院地図から配信されたものである)

芽登(めとう)

metot(-pet)
山奥(・川)
(典拠あり、類型あり)

足寄町西部の地名で、同名の川もあります。また「芽登温泉」という温泉もありますが、この温泉は美里別川の支流の「ヌカナン川」にあるので、厳密には場所が違う……のかもしれません。

更科源蔵さんの「アイヌ語地名解」には、次のように記されていました。

 芽登(めとう)
 足寄町の字名。本別で利別川に合流するピリペッ川の支流、芽登川からでた地名でメトッ・ペッで深山の川の意。

あっ、なるほど。metot-pet で「山奥・川」では無いかと言うのですね。

山田秀三さんの「北海道の地名」には、次のように記されていました。

芽登 めとう
 美里別川中流に注ぐ西支流の名,地名。足寄町内。この川は然別湖の東裏山から流れて来る川である。メトッ(metot 奥山)から来た名であろう。
山田秀三北海道の地名」草風館 p.297 より引用)

然別湖の東裏山」とありますが、これは「糠平湖の東裏山」の間違いだと思われます。ただ「芽登」の解釈については間違い無さそうな感じですね。

オケトニ川

o-ket-un-i
そこに・獣皮を張って乾かす枠・ある・ところ
(典拠あり、類型あり)

足寄町東芽登のあたりを北東から南に向かって流れて、美里別川に注ぐ支流の名前です。意外なことに、「北海道地名誌」に次のような記載を見かけました。

 オケトニ沢 美里別川の小支流。現在この名であまり呼ばない。アイヌ語「オ・ケッ・ウニ」で,(そこに獣皮を乾すわくのあるところ)の意。
NHK 北海道本部・編「北海道地名誌」北海教育評論社 p.644 より引用)

あっ、今回は「意味不明」じゃない……! o-ket-un-i で「そこに・獣皮を張って乾かす枠・ある・ところ」ではないかという説ですが、とても妥当な解釈ではないかと思います。

イクシナ川

i-kus-na(-pet)??
それ・向こう側・の方(・川)
(?? = 典拠なし、類型あり)

足寄町芽登の西方に位置する「藻岩山」の西を流れる支流の名前です。「モイワ」という名前も道内の各所に見られますが、これは「静かなる霊山」と解釈するのが適切でしょうか。足寄の藻岩山は南北に伸びた独特な形をしていて、その西側を「イクシナ川」が流れています。

道東の斜里町に「以久科」あるいは「幾品川」というところがありますが、おそらく語源は同じで i-kus-na(-pet) で「それ・向こう側・の方(・川)」だったのではないかと思われます。何の向こう側かと言うと、「藻岩山」の向こう側だったのではないかなぁ、と。

ヌッパオマナイ川

nup-pa-oma-nay?
野・かみ・そこに入る・川
(? = 典拠未確認、類型多数)

登川道道 468 号「清水谷足寄線」に沿って流れていますが、「芽登取水ダム」の手前からは支流の「ヌッパオマナイ川」沿いを通ります。ヌッパオマナイ川は芽登川の南側をほぼ並んで流れています。

「ヌッパオマナイ川」も道内各所にあるかと思いますが、nup-pa-oma-nay で「野・かみ・そこに入る・川」ということだと思われます。

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