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アイヌ語地名の傾向と対策 (761) 「ワッカポップ川・ネットン川」

やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院地理院地図から配信されたものである)
地図をクリックしたら地理院地図に飛べたりします。

ワッカポップ川

wakka-pop???
水・湧き上がる

 

(??? = 典拠なし、類型未確認)

道道 3 号「札幌夕張線」沿いを流れる川の名前です。富志戸川の北隣の川、でもあります。

「東西蝦夷山川地理取調図」や明治時代の地形図には「ワッカポップ川」に相当する名前の川を確認できず、また丁巳日誌「由宇発利日誌」にもそれらしい記述を確認できませんでした。

永田地名解には次のような記載がありました。ただ「由宇発利日誌」を見た限りでは千歳市泉郷のあたりを指しているようにも見えるので、「ワッカポップ川」との関係は無さそうに思われます。

Yam wakka pira  ヤㇺ ワㇰカ ピラ  冷水崖

「ワッカポップ」ですが、wakka-pop であれば「水・湧き上がる」と考えられそうです。pop は「煮立つ」と解釈することもできますが、そう言えば「ワッカポップ川」を遡ると道路沿いに「馬追温泉」という文字が見えますね。

この「馬追温泉」、なんと創業は 1908 年とのこと。ただ大変残念なことに、2018 年 10 月に営業を終了してしまったのだそうです。


「ワッカポップ」が「温泉」だったのであれば、もっとストレートに yu などの語彙を使っても良さそうなものですが、「馬追温泉」は https://hre-net.com/syakai/syakaibunka/33883/ によると摂氏 16 度の鉱泉だったとのこと。なるほど、yu と呼ばなかったのも理解できる気がします。

ネットン川

net-un(-pet?)???
漂木・ある(・川)

 

(??? = アイヌ語に由来するかどうか要精査)

長沼町の市街地から見て北東の方向にゴルフ場があるのですが、「ネットン川」はこのゴルフコースのあたりから西に流れています。また南隣に「ネットン枝川」という川もあります。

この川も「東西蝦夷山川地理取調図」や明治時代の地形図などでは確認できず、丁巳日誌「由宇発利日誌」においても同様にそれらしい記述を確認できませんでした(見落としがあればすいません)。

そもそもアイヌ語に由来するのか……というところから始めないといけませんが、アイヌ語由来だと考えるならば、net-un(-pet?) で「漂木・ある(・川)」と読めそうだなぁ……と思っています。手頃なサイズの木の枝は、拾って乾かしておけば焚き木として活用できるので、ちょくちょく地名にも出てくるんですよね。

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