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春の道東・船と鉄路とバスの旅 2017 (7) 「苫小牧東部工業基地の宇宙開発実験」

「ミール」の奥には階段があり、隣の「プラネタリウム」や「本館展示室」に移動することができます。この写真はプラネタリウムに向かう通路から撮影したものですが、通路と階段の配置は明らかに遠回りを強いるものです。これはミールを上から眺めることができるように……ということなんでしょうね(良い設計だと思います)。

【ご注意ください】この記事の内容は、特記のない限りは 2017 年 4 月~ 5 月時点のものです。新型コロナウイルス感染症パンデミックにより、各種サービスの実施状況や営業時間などが現在と異なる可能性があります。

工業基地の宇宙開発実験

通路の下には「苫小牧東部工業基地の宇宙開発実験」と題された一角があり、使用済みのロケットエンジンと思しきものが展示されていました。工業基地で宇宙開発実験というのも少々解せませんが、色々あって広大な土地が存在しているため(オブラートに包んでみました)、有効活用してみた……と言ったところでしょうか。

こちらは「推力中断実験用ロケットモーター」とあります。実際のロケットで使用しているエンジンの 1/5 のサイズで製造された「小型のロケットエンジン」のようです。

この「推力中断実験」は、固体燃料ロケットの打ち上げ途中で異常が発生した際に、ロケットの推進部を破壊することでロケットの暴走を止めよう……という実験だったとのこと。固体燃料ロケットは一旦点火してしまうとあとは全力で燃え続けるため、姿勢制御不能になったロケットの推力を削ぐには推進部を破壊するしか止める方法は無い……ということですね。

使用済み(燃焼中に本体が破壊)のロケットエンジンって、こんな風に焼けただれているんですね。

すっかり冷え切ったロケットエンジン(のノズル)の横には館内の暖房装置が。閉館時はストーブを OFF にするのを忘れないようにしましょう。

宇宙服……ではなく「作業着」

暖房装置の隣には宇宙服と思しきものがケースの中に展示されていました。

あ、これは「宇宙服」ではなく「作業着」なんですね(どちらも実際に宇宙飛行士が着用した「本物」のようです)。静電気の発生を極限まで抑えているのだろうなぁと思わせますが、昔の「宇宙服」と比べると随分とカジュアルになったような感じも……。

こちらは「ミール」の船内で使用した靴だそうですが、爪先の部分に布のようなものが見えるのは何なんでしょう……? この位置に磁石があれば歩きやすそうかな、などと思ったりもしますが……。

非常用酸素発生装置

「作業着」の横には潜水艦のミニチュアのようなものが置かれていて、その上には写真入りのパネルが展示されています。

この潜水艦のミニチュアのようなものは「非常用酸素発生装置(模型)」とのこと。宇宙での長期滞在では、真っ先に「酸素はどうするんだろう?」という疑問が出てきますが、この説明によると通常は水を電気分解することで酸素を生み出していたとのことで(「エレクトロン」を参照)、この装置は「非常用」だったようですね。

この装置は Wikipedia に「Vika酸素発生器」と出ているものでしょうか(機械翻訳っぽい記事ですが)。この記事によると、この「酸素発生装置」は「ミール」に 3 人以上が乗り込んだ際に使用されたとのこと。ふむふむ、これは確かに「非常用」ですが「緊急用」では無いということになりますね。

上のパネルは「ミール展示館を訪れた海外の宇宙飛行士」と題されたもので、左下の「アレクサンドル・ラズートキン」の項には「滞在中、酸素漏れや船内火災に遭う」と記されています。

Wikipedia の「Vika酸素発生装置」の項にも「1997年2月、ミールのクバント1モジュールで、Vika化学酸素発生器が故障し発火した。」とあります。「酸素発生装置」の「火災」とはよりによって……という感もありますが、酸素発生の仕組みをちゃんと多重化してあったのは素晴らしいですね。

ボストーク 1 号とスペースシャトル

その隣には世界初の有人宇宙飛行を成し遂げた「ボストーク 1 号」が飾られています。「ボストーク 1 号」はかなりコンパクトなものだったと言われますが、これは……流石にコンパクトすぎますね。1/20 くらいのサイズでしょうか……?

このボストークの模型?は市民の方から寄贈されたものとのこと。

「ボストーク」の隣には「スペースシャトル・オービター」の模型が。それぞれ縮尺がわかるようになっていると尚良いのですが……。

オービターの魅力は、なんと言っても巨大な貨物室ですよね。天井が丸々開くのも格好良いですが、ボディの剛性を確保するのが大変そうだなぁ……という印象も。

実物大!

更にその横には「ペンシルロケット」の模型が。こちらはなんと実物大とのこと。ちっさ……と思ってしまいますが、「始まりの一歩」としてはとても偉大なものです。

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