Bojan International

旅行記・乗車記・フェリー乗船記やアイヌ語地名の紹介など

日高本線代行バス (32) 「鵡川」

鵡川行き列車代行バス潮見駅を出発して、国道 235 号に戻ってきました。向こうからやってきたのは道南バスの「高速ペガサス号」でしょうか……?

【ご注意ください】この記事の内容は、特記のない限りは 2017 年 5 月時点のものです。各種サービスの実施状況や利用時間などが現在と異なる可能性があります。


鵡川を渡ります。鵡川沙流川と同様に、西行きと東行きで構造の異なる(おそらく架橋年次も異なる)橋が並んでいます。既存の橋を有効活用するとともに、万が一の際の冗長性を高めているのでしょうね。

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北海道のアイヌ語地名 (1124) 「パナハンポ川・パナアンソーポコマナイ・タツタマップ川・トイベ川」

やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院地理院地図から配信されたものである)
地図をクリックしたら地理院地図に飛べたりします。

パナハンポ川・パナアンソーポコマナイ

pana-wa-an-so-pok-oma-nay
川下側・に・ある・滝・下・そこにある・川
(記録あり、類型あり)
(この背景地図等データは、国土地理院地理院地図から配信されたものである)

「パナハンポ川」はクオマナイ川の 1.5 km ほど北を流れ、西から庶路川に注ぐ支流です。川沿いには「パナハンポの沢林道」が通っています。

「パナアンソーポコマナイ」は地理院地図では存在を確認できませんが、「運輸局住所コード」が設定されている地名で、Google マップなどの一部の地図サイトで存在が確認できます。庶路川の西側、パナハンポ川の南から北にかけて広がっている……ということになっています。

東西蝦夷山川地理取調図』(1859) には「シヨンコムナイ」という名前の川が描かれています。また『北海道実測切図』(1895) には「パナハンポ川」に相当する位置に「パナアンソーポコマナイ」と描かれていました。

どうやら「パナアンソーポコマナイ」が略しに略されて「パナハンポ」になったと思われるのですが、「どうしてこうなった感」が凄いですよね……。

鎌田正信さんの『道東地方のアイヌ語地名』(1995) には、次のように記されていました。

 パナ・ワ・アン・ソー・ポㇰ・オマ・ナィ(pana-wa-an-so-pok-oma-nay 川下の方・に・ある・滝・下・に入る・沢)の意で、ペナは(pena 川上の方)のである。この庶路川の上流には庶路大滝があって、両方の沢とも滝の下手にあるが、そのうちでも上流の沢と、下流の沢とを区別したのである。
(鎌田正信『道東地方のアイヌ語地名【国有林とその周辺】』私家版 p.237 より引用)※ 原文ママ

pana-wa-an-so-pok-oma-nay で「川下側・に・ある・滝・下・そこにある・川」と読めそうですね。この「滝」は庶路ダムのすぐ下流側にある「大滝」のことだと考えられます。また鎌田さんによると「パナハンポ川」(=パナワンソーポコマナイ)の 1.3 km ほど北で「ペナアンソーポコマナイ」が北東から庶路川に流入しているとのこと。

どちらの川も「滝の下にある川」で、「パナ」(川下側)と「ペナ」(川上側)で区別していたみたいですが、なんかネーミングが随分とざっくりしてきたなぁ……という印象が……。

また川名の「パナハンポ川」は意味不明なレベルで略されてしまっているのに、地名のほうが「パナアンソーポコマナイ」とほぼ完璧な形で(書類上は?)の残っているのも面白いですよね。

タツタマップ川

kut-tapkop?
岩層のあらわれている崖・丸山
(? = 記録はあるが疑問点あり、類型あり)
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北海道のアイヌ語地名 (1123) 「ウカルキナイ川・ルオンネナイ川・クオマナイ川」

やあ皆さん、アイヌ語の森へ、ようこそ。

(この背景地図等データは、国土地理院地理院地図から配信されたものである)
地図をクリックしたら地理院地図に飛べたりします。

ウカルキナイ川

{ukur-kina}(-o)-i?
{タチギボウシ}(・多くある)・ところ
(? = 記録はあるが疑問点あり、類型あり)
(この背景地図等データは、国土地理院地理院地図から配信されたものである)

白糠町上庶路のあたりで北東から庶路川に合流する支流です。どことなく記念受験的な雰囲気も漂いますが……(何の話だ)。

東西蝦夷山川地理取調図』(1859) にも「ウカルキナイ」という川が描かれていて、『北海道実測切図』(1895) でも「ウカルキナイ」と描かれていました。

お遊びか、ガチの決闘か

永田地名解 (1891) には次のように記されていました。

Ukaruki nai   ウカルキ ナイ   遊戯澤

なんだ、やっぱり記念受験はお遊びだったのか……という話ではなく(ぉぃ)、鎌田正信さんの『道東地方のアイヌ語地名』(1995) によると、次のように解釈したもののようです。

白糠地名研究会は「ウカラ・キ・ナィ ukara-ki-nay ウカラという遊び・する・沢」と解した。川口に設置された標識には「こん棒でお互いに打ち合う遊び」と説明されている。
(鎌田正信『道東地方のアイヌ語地名【国有林とその周辺】』私家版 p.235 より引用)

どこかで聞いた話だな……と思ったのですが、おそらく知里さんの『斜里アイヌ語地名解』(1960) の「ウカルシュベツ川」の項ですね。

(417) ウカルシベツ(Ukar-ush-pet) ウカル(棍棒で叩き合う,決闘する),ウㇱ(いつも……する),ペッ(川)。「いつも決闘する川」の義。こゝで始終山争いがあつたという。
知里真志保知里真志保著作集 3網走郡内アイヌ語地名解』」平凡社 p.312-313 より引用)※ 原文ママ

ここでも、知里さんの「仁義なき戦い」的な解に対して、永田地名解は随分と穏当な解を示しています。この「ウカル」は、元々は「決闘」の手段だったと思われるのですが、知里さんによると次のような変遷があったのでは、とのこと。

ウカラは,前に述べた如く,棍棒(シツ゚)を以てする打ち合ひであるが,それは何の為に行はれたかと云ふと,(一)紛争が口論(「チャランケ」)のみで決し兼ねた場合,それを解決する最後の手段として用ひられ, また(二)「鬱憤ありて打果すほどの事に及びたる時,あつかひの者入て和談せしめ遺恨なきために互に打て鬱憤を散ずる」(『北海随筆』),即ち和解の手段として用ひられるのである。(三)試合の方法としても用ひた(→註4)。本篇の場合などその一例である。(四)後にはそれがスポーツ化し,更に興行的な行事にまで化した。
知里真志保知里真志保著作集 1『樺太アイヌの説話(一)』」平凡社 p.356 より引用)

適切ではない喩えかもしれませんが、日本刀で斬り合っていたものが「剣道」として体系化され、それが「スポーツチャンバラ」に発展?したような感じ……でしょうか?

タチギボウシの川?

閑話休題それはさておき。「ウカルキナイ川」に話を戻しますが、仮に「スポーツチャンバラ川」だったとして、「磯野ー、ウカルやろうぜー」と言ってわざわざ「ウカルキナイ川」まで足を伸ばすというのはちょっと理解に苦しみます。まぁ「ウカルキナイ川」が下流側のアイヌと上流側のアイヌの境界線で、しばしば「仁義なき戦い」が繰り広げられたと考えることは(一応は)可能ですが……。

「タチギボウシ」を意味する ukur-kina という語があります。湿原に自生する草ですが、「ウクルキナ」系の地名は山間の川沿いに多く見られる印象があります。この「ウカルキナイ川」も {ukur-kina}-nay で「{タチギボウシ}・川」だったのではないでしょうか。

おそらく -nay の前には「多くある」を意味する -us-o あたりがあって、それが脱落したと見るべきですが、-o であれば確実に脱落しそうに思えます。ukur-kina-nay であれば「ウクリキナイ」となり「ナ」が一つ余るので、あるいは {ukur-kina}(-o)-i で「{タチギボウシ}(・多くある)・ところ」あたりかもしれません。

ルオンネナイ川

ru-o-onne-nay?
道・ついている・老いた・川
(? = 記録はあるが疑問点あり、類型あり)
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日高本線代行バス (31) 「汐見」

鵡川行き列車代行バスは、ついにむかわ町に入ってしまいました。長かった日高振興局エリアからもついに脱出で、ここからは胆振総合振興局エリアです。

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むかわ町に入って国道 235 号を走ること 2.7 km ほどで、とある交叉点にやってきました。不思議なことに左折車線と直進・右折車線が存在するようです。

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日高本線代行バス (30) 「富川」

鵡川行きの列車代行バス富川駅の西にある踏切を渡ります。この線路は富川・静内浦河様似方向のものです。線路の左側に河岸段丘が迫っていることがわかりますね。

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富川駅

踏切を渡ってから 500 m ほどで、横断歩道のある交叉点が近づいてきました。よく見ると道道 289 号「富川停車場線」のヘキサもあります。ということは……

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日高本線代行バス (29) 「日高門別~富川」

鵡川行き列車代行バスは国道 235 号を北西に向かいます。

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おっ、「門別競馬場」の案内が!

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日高本線代行バス (28) 「日高門別」

鵡川行き列車代行バス道道 351 号「正和門別停車場線」の「山門別踏切」を渡って、門別の中心街に入ります。

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あれ? T 字路に出てしまいました。おそらく右折が正解だと思われますが……

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