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奇想、天を動かす (長門有希の100冊)

長門、本を読ます(←

長門有希の 100 冊」に挑戦!というのは流石に大変なのですが、少しずつトライしてみようかな、ということで、島田荘司の「奇想、天を動かす」を読んでみました。

空前絶後の?札沼線を舞台としたミステリー

「買ってはみたけれど、まだ読んでいない」という本が山ほどあるわたくし、いつか罰が当たりそうな気がするのですが、まぁその辺は置いといて(←)。

ここしばらく山田秀三さんの北海道地名関連の本を読みあさっていたので、さすがにそろそろ気分転換を……ということで、ストックの中から「奇想、天を動かす」に手を伸ばしたわけです。気分転換には、なるべく学術的っぽい話から離れた本を……と思ったのですね。

すると、いきなり出てきたのが「昭和 30 年代の北海道の鉄道路線図」でした。内心、「うわ、これも北海道かよ!」と驚いたわけで……。もちろん北海道が嫌いなわけはありませんから、釣られるように本文を読み始めたわけですが……。

初めに出てくるのが、「国鉄札沼線」の車内で起こった怪事件?の話です。ひらがなを多用した拙(つたな)い文章なのですが、結果的にはこれも一種の伏線だったことが明らかにされます。札沼線については 2009/6/13 の記事でも触れているのですが、アレとアレがああなっていまして……(←)。私はその事実を最初から知っていたので「ふぅん」と思ったのですが、作中では最後のほうまでその事実が明らかにされなかったので、ここで書いてしまうとやや顰蹙かも知れないわけで……。

札沼線に似合わぬ(←)大仕掛けのミステリー

ジャンルで言えば「本格」になるのでしょうね。謎解きのメインとなる「昭和 30 年代の北海道で起こった事件」については、まるでファンタジー(おとぎ話)のような描写で、とても現実のものとは思われないのですが、作中のクライマックスできちんと「説明」が試みられています。

「ピエロが夜汽車の中で一心不乱に踊り続けた謎」
「蝋燭の炎に埋め尽くされた死体の謎」
「死体が発砲した謎」
「ほんの数分で消え失せた死体の謎」

などなど……、これら全ての謎が合理的に?解き明かされます。前述の「アレとアレがああなっている」という情報の提示がすこーし不足しているかな? と思わないでもないですが、事前に読者に提示すべきほどの特殊な情報でも無いですし、下手に提示してしまうとネタバレになりかねないので、まぁ仕方が無いのでしょうね。

まとめますと

鮎川哲也好きの人(最近は少なくなったでしょうけれど)には自信を持ってお薦めできる一冊だと思います。

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