東京メトロ千代田線の新御茶ノ水駅から「甲賀坂」をテクテクと西北西に歩いて行くと、明大通りの交差点の先にちょいと急な坂が見えてきます。
山の上ホテルはこの坂の先です。
はい、山の上ホテルに到着しました。「山の上ホテル」という名前は少々大げさなようにも、また奇異にも思えますが、一応ちゃんとした由来があるそうです。
人に歴史あり、山の上に歴史あり
まぁ、話は長くなるのですが、まずは来歴から。
ホテルのシンボルとも言える鉄筋コンクリート建築の旧館は、当初、財団法人日本生活協会の依頼により1936年にアメリカ出身の来日建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計により「佐藤新興生活館」として完成した。その後、太平洋戦争中には帝国海軍、引き続いてGHQ陸軍婦人部隊に接収され、その宿舎として用いられていた。
なんと、あのヴォーリズの設計だったんですね……。幼少期を滋賀県で過ごした人間にとっては、ヴォーリズの名前は良く耳にしたものでした。うん、彼をネタにしても一本くらいはイケそうですが、また日を改めて。
「ヒルトップ」=「山の上」
さて、GHQ に宿舎として接収されていたヴォーリズの建築が、1954 年に一般向けホテルとして生まれ変わります。
一般向けホテルとしての開業は比較的新しい1954年1月20日で、GHQの接収解除を機に、新進実業家の吉田俊男(1913-1992)が佐藤家から建物を借り入れる形で創業した。
そして、「山の上ホテル」という名前の由来がここでようやく語られるわけですが、
なおホテル名は、GHQ接収時代にアメリカの女性兵士・軍属の間で建物の愛称になっていた「Hilltop」が起源で、これを吉田が「丘の上」でなく敢えて「山の上」と意訳したことによる。
ということなのだそうです。もともと "Hilltop" という愛称があり、そこからホテル名をいただいた、ということになりますね。それにしても、小ぢんまりとしながらも凛とした佇まいには、「山の上ホテル」というネーミングがいかにもしっくり来ます。これがもし「ヒルトップホテル」なんて名前だったら、何となくがっかりしてしまいそうな……。
次回予告
まぁ、今まで泊まったホテルとは「何かが違っていた」とは断言できます。どの辺が違っていたかは、これから追々と……。
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