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春の道東・船と鉄路とバスの旅 2017 (152) 「カニの家」

幸福交通公園」を後にして「グリュック通」に戻ってきました。左折すると帯広広尾道の「幸福 IC」へ、右折すると国道 236 号・愛国駅方面です。

【ご注意ください】この記事の内容は、特記のない限りは 2017 年 5 月時点のものです。各種サービスの実施状況や利用時間などが現在と異なる可能性があります。

右折して国道 236 号に向かったのですが、凄まじい逆光でゴーストが出まくってますね……(汗)。レンズのゴーストは味わいがあるので基本的に残すようにしているのですが、これは消そうと思っても消すのは無理のような気が……。

T 字路の正面には「幸福駅←」の看板が。幸福駅跡の案内板には「帯広市を代表する観光スポット」とあり、その場では「いやいやまさかそんなことは」と思ったのですが、よく考えると他にこれと言ったスポットが思い浮かばないような気も……(汗)。

左側の「幸福バス待合所」というのもかなりハッピーな感じですね。

どこへ行くのも 500 km

右折して国道 236 号に入りました。Google マップには「北海道ガーデン街道」という愛称が記入されています。

青看板(106 系標識)には「釧路 143 km」「富良野 142 km」と出ています。こうやって見てみると、富良野が意外と遠いことに気付かされますね。山の向こうではあるものの、釧路よりはずっと近そうなイメージがあったのですが……。

白樺並木の手前に見えているのはトド松でしょうか。この写真でふと我に返ったのですが、白樺並木って人為的に植樹した結果なんですよね。何を当たり前のことを……と言われそうですが。

帯広広尾道の「帯広川西 IC」まで 9 km という案内……だと思いますが、なぜか「帯広川西 IC ⇔ 帯広 JCT」となっています。帯広広尾自動車道が最初に開通したのがこの区間なので、そのタイミングで設置された看板……ということでしょうか?

「大正村」の明治時代

大正(帯広市大正町)の市街地に入りました。国鉄広尾線の「愛国駅」と「幸福駅」の間には「大正駅」があったのですが、両隣の駅と比べると知名度がガクっと下がる、ちょっと気の毒な駅だったのかもしれません。

ただ、大正町と幸福町(いずれも帯広市)の間には「昭和町」もあり、こちらは仮乗降場すら設置されなかったので、それと比べると遥かに恵まれているという説も……(汗)。

「大正町」と言うからには明治時代は別の名前だったと思うのですが、ちらっと調べたところでは「上帯広村」「売買うりかり村」「幸震さつない村」が合併して成立したとのこと(当時は「大正村」)。興味深いことに、「北海道地形図」(1896) には、現在の大正のあたりに地名や川名が描かれていないので、鉄道の開通に呼応して発展した集落だったのかもしれません。

ついでに言えば、「北海道地形図」には、道道 238 号「更別幕別線」や道道 109 号「新帯広空港線」のルートが最大の幹線道路として描かれていました。「旧広尾道路」という表現もありましたが、なるほど明治時代の幹線道路だったのですね。

大正の市街地には駅がありましたが、これは 1929(昭和 4)年に鉄道省広尾線の「幸震こうしん駅」として設置されたものが 1944(昭和 19)年に「大正駅」に改称され、1987(昭和 62)年に広尾線の全廃に伴って廃止されています。

カニの家?

これは大正の市街地のほぼ真ん中あたりだと思われるのですが……

ところで、この「カニの家」って一体……?

Google Map を見てみると、旧大正駅のちょい南、大正神社の手前あたりに「大正カニの家」という宿泊施設があるようです。なぜカニなのか、不思議な感じもしますが……。そして民間の宿泊施設であればこのような案内標識が立つのは妙ですよね……?

つい誘惑に負けてググってしまったのですが、帯広市の Web サイトに「大正カニの家(無料共同宿泊施設)」の案内がありました(URL が /tabemono/ なのは気にしてはいけません)。ページには「徒歩、自転車、自動二輪旅行者のための無料宿泊施設です」とあったのですが、あっ! これってもしかして……!

昭和40年頃、道内を旅行していた若者は、リュックサックを背負い周遊していましたが、その歩く後ろ姿がカニに似ていることから、地元の人達はその若者達をカニ族と呼ぶようになりました。

あああ、やはり! 昭和のスラングに「カニ族」ってありましたよね!

昭和46年、カニ族が宿泊する臨時宿泊所が設置され、この施設をカニ族が泊まる家として「カニの家」と呼ぶようになりました。

まぁ「カニ族」という表現自体が思いっきり昭和なので(地名は大正なのに)想像はつきそうなものですが、1971(昭和 46)年から続いているというのは凄いですよね。ちょっと解せないのが、この「大正カニの家」は旧大正駅の敷地跡に存在するように見えるのですが、現在のカニの家は 2001 年にオープンしたとのこと。駅跡の敷地の有効活用と言ったところでしょうか。

無料宿泊施設「カニの家」は今年(2023 年)で 53 年目に入ったことになりますが、ここまできっと大きな問題もなく続けられたというのは素晴らしいことですよね。貧乏旅行をする若者は永遠に不滅だと思うので、これからも長く続けてもらいたいところです。

【おことわり】本記事内の写真は以下の目的のために Adobe Firefly の生成 AI による生成塗りつぶしを使用しているものがあります:フロントガラスへの映り込み除去

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