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アイヌ語地名の傾向と対策 (11) 「糠平・三股・層雲峡」

えー、突然ですが、「北海道駅名の起源」の昭和 48 年版をゲットしました。

アツシ織の写真の上にアイヌ文様がプリントしてあるという、いかにも「アイヌ文化」にコミットしたデザインが印象的です。凄いのは発行元で、「日本国有鉄道北海道総局」とあります。国鉄が自前で本を出していた、という事実には驚かされます。

ちなみに、比較のために左側に置いた「しおり」もアツシ織のもの(藤谷るみ子さん作)で、平取町二風谷の「萱野茂二風谷アイヌ資料館」にて絶賛販売中……の筈です。お求めは冬になる前にお早めにどうぞ!

さて、では本題に移りましょう。

糠平(ぬかびら)

noka-pira
像・崖
(典拠あり、類型あり)

「帯広」「音更」「士幌」と、まさかの各駅停車が続いているので、ここからは何とかスピードアップしたい……ですね! この「糠平」にはダム湖や温泉もあり、道内でもそれなりの知名度があるところだと思うのですが、意味は noka-pira で「像・崖」なのだとか。もう少しかみ砕くと「人の姿の崖」とのことで、この地名の元となった崖はダム湖に沈んでしまったそうです。

ああ、すっきりくっきりした解釈があるってのはいいものですね!(←

「ヌカビラ」という音の地名としては、平取町にも「額平川」があります(上流のスズラン群生地が有名)が、糠平と同じく noka-pira に由来するだろう、とのこと。平取の額平川にはもう少し面白い話があるようなのですが、また後日にでも……(先を急いでいるもので)。

三股(みつまた)

かつて士幌線の終点があったところですが、製材のために拓かれたような集落で、もともとアイヌのコタンがあった、というわけでは無かったようです(たぶん)。したがって、「三股」という地名はまさかの非アイヌ語地名だったのでした。

こちらは、十勝三股バス停にあった「周辺案内図」をトリミングしたものですが、確かに三つの川(四つ?)が合流している所、となりますね。川下から見ると「三つに分かれている」から「三股」となったのだとか。

層雲峡(そううんきょう)

so-un-pet
滝・ある・川
(典拠あり、類型あり)

「層雲峡」という地名は、明治から大正にかけて活躍した、歌人にして随筆家でもあった大町桂月によって名付けられたのだそうです。とても趣のある、すてきな命名だと思うわけですが、もともとは、近くを流れていた so-un-pet(滝・ある・川)から「ソー・ウン」の音を借用した、ということのようです。

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