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日本最長路線バスの旅 (6) 「行き止まりでも見捨てない」

八木新宮線のバスは、猿谷ダムのダム湖に沿って走ります。

国道 168 号線は、奈良県五條市和歌山県新宮市をほぼ一直線に結ぶ(ちょっと言い過ぎ)幹線道路であるため、潜在的な需要はある筈なのですが、いかんせん整備が追いついていないのも事実です。というわけで、こんな感じで途中あちこちで絶賛改良工事中でした。工事中だったこのトンネルはおそらく小代下トンネルで、現在は既に供用が開始されている筈です。

バイパスとなるトンネルが建設されることが決まっている道は整備対象から(事実上)外れるので、山裾ギリギリを走る路線バスの走りを楽しむことができます。こういった区間が多いので、八木新宮線を担当する運転手さんはベテラン揃いなのだと聞きました。確かにこの日の運転手さんもキャリアが長そうな感じでしたね。

猿谷ダム

猿谷ダムが見えてきました。熊野川水系には相当な数のダムがあるのですが、これからいくつのダムを目にすることになるのでしょうか。

猿谷ダムの横に掘られた「猿谷隧道」をゆきます。このトンネルはダム建設と同時期に開通したと思われるので、トンネルの断面もちょっと小さめに思えます。

災害復旧用仮設国道

旧・大塔村の中心地に近づいてきました。対岸に何やら物々しい建設中の道路が見えます。

一部は既に建設が終わっているところもある……と言うか、既に供用済みだったのですね(バスの姿が見えます)。川沿いの高所に、いかにも「仮設です!」と言わんばかりの橋が見えますが(まるで泰緬鉄道のアルヒル桟道橋みたいですね)、実はこの橋が災害復旧用の仮設道路だったみだいです。

行き止まりでも見捨てない!

八木新宮線のバスは、災害復旧用の仮設道路には入らずに、そのまま大塔支所(かつての村役場)に向かって走ります。ただ、この先は災害による通行止めなので、大塔支所の手前で側道に入り、南側の交叉点を使って U ターンを始めました。

そして、来た道を 300 m ほど引き返して、災害復旧用の仮設道路に向かうべく川を渡ります。大塔支所は旧・大塔村の行政の要なので、仮設道路を経由するからと言って無視するわけにはいかなかったということなのでしょうね(もっとも、これだけの手間を掛けるだけの利用があるかと言われると話は別なのですが)。

国道 168 号線は何かと災害で通行止めになることが多く、八木新宮線も通しで運行できない(区間運休する)ことも実はしょっちゅうなのですが、このような災害による通行止めが生じたときも、奈良交通のバスは相当遠回りや寄り道をして、なるべく「バス停を見捨てない」ように努力している様が伺えます。

この時は「辻堂」と「辻堂南」のバス停にバスが行かなくなっていたのですが、これはバスを折り返す場所が確保できなかったからなのかな、と思います。災害復旧のために経路外になってしまった話であれば「大塔支所」もそうなのですが、わざわざ行き止まりになってしまった大塔支所までバスを走らせた上に、普段と違うところでわざわざ切り返して U ターンするという時点で「神対応!」と思ってしまうのは、ちょっと贔屓の引き倒しでしょうか。

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