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宗谷本線各駅停車 (7) 「徳満・豊富」

徳満駅(W75・2021/3/13 廃止)

兜沼を出発した 4326D は芦川駅跡を通過し、次の停車駅である徳満に到着しました。駅前に「徳満会館」という、公民館のような建物が見えます。

この徳満駅も棒線駅で、ホームや駅舎は進行方向左側にありました。そのため撮影できた駅らしきものと言えば……

やはり本場の味はサッポロビールですよね。

ちなみに、この「徳満駅」ですが、「北海道駅名の由来」によると命名にあたって次のような紆余曲折があったようです。

 徳 満 (とくみつ)
所在地 (天塩国)天塩郡豊富町
開 駅 大正 15 年 9 月 25 日
起 源 付近の部落を「福満」といっていたが、城端線に同音の駅があるため、「徳満」と名づけたものである。
(「北海道駅名の起源(昭和48年版)」日本国有鉄道北海道総局 p.182 より引用)

陸軍図には「天塩線」(後の宗谷本線)開通後の状態が描かれているので、既に駅の近くの集落は「徳滿」となっていますが、駅ができる前は「福満」だったんですね。当時の瑞祥地名の命名がいかにテキトーだったかを示す一例でしょうか(ぉぃ)。

湿原の面影

これは徳満駅の 200 m ほど南方ですが、崩壊した農場?の建物が見えました。よく見ると手前で畑を耕している方の姿も……。

兜沼と豊富の間は、陸軍図では一面の湿原が広がっていることになっていました。湿原に水路をつくって水を集めることで、長い時間をかけて湿原を農地に変えてきたわけですが、それでもこのようにかつての湿原の面影がところどころに残されています。

農地と湿原の向こうには、もはや毎度おなじみ利尻富士の姿が。さて、利尻富士の連続出場記録はあと何回続くでしょう……?

豊富駅(W74)

農地と線路の間に木が仲良く並んでいました。まるで兄弟みたいですね。

4326D は再び速度を落としました。間もなく豊富駅に到着です。

右側には出発信号機と線路が見えます。さすがは特急停車駅だけあって、ちゃんと交換設備も現役のようです。

オエ 61 型救援車

うわっ、これはまた珍しい車輌が保存されていますね……。この旧型客車、窓とドアに格子がついているので「荷物車」かな……と思ったのですが、Wikipedia によるとこれは「オエ 61 型救援車」とのこと。

改めて考えると「救援車」が保存してあるのって相当貴重な感じがする(マニアックかも)のですが、雨ざらしなので塗装などの痛みもかなり激しいようですね。

気分爽快!! サロベツ

ということで豊富駅に到着です。沿線に観光地を抱える豊富町の中心駅で、特急停車駅でもありますが、実は無人駅なのだとか。建物も割と立派なものに見えるので、無人というのはちょっと意外な感じが……。

前述の通り、豊富駅には交換設備がありますが、兜沼駅で交換を済ませたばかりなので、2 番のりばには車輌の姿はありません。

もちろん本場の味はサッポロビールですよね。

そしてその隣には「気分爽快!! サロベツ」と題された、オロロンライン(道道 106 号「稚内天塩線」)をフィーチャーした写真パネルが見えます。海沿いに出る唯一の公共交通機関だった沿岸バスの「サロベツ線」もついに廃止されてしまいましたので、車を確保しないとサロベツ原野をエンジョイするのは難しくなりましたが……。

「豊富温泉」と並び称される「大規模草地育成牧場」

ちゃんと「名所案内」も用意されていました。国鉄時代のフレームをそのまま使っているように見えますが、「利尻礼文サロベツ国立公園」が「周遊指定地」としてトップに掲載されています。他は「稚咲内」の砂丘原始林や「サロベツ原野」の原生花園、そして「豊富温泉」と「大規模草地育成牧場」が並んでいます。

油井掘削の副産物とも言われる豊富温泉は、浴槽にオイルフェンスが用意されていることでも有名な温泉です。

あの有名な「豊富温泉」と「大規模草地育成牧場」が同列の扱いというのは面白いですよね。

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